【日々レビュー記】『罪と罰』[第1篇-3]:母からの手紙が心に刺さる ― ラスコーリニコフの苦悩

📖 今回読んだ範囲(あらすじ・要約)

舞台はラスコーリニコフの貧しい下宿部屋。
彼はすでに部屋代も食費も払っておらず、女中のナスターシャからの差し入れでかろうじて生きている状態。そんな中、田舎なまりのおしゃべり好きな彼女が、手紙を預かっていたと伝える。
送り主は、彼の母親――プリヘーリヤ・ラスコーリニコヴァだった。

手紙には、久しぶりの便りとして様々な出来事が綴られていた。

まず、妹ドゥーネチカ(ドゥーニャ)の苦難。
彼女はスヴィドリガイロフ家で家庭教師として働いていたが、雇い主のスヴィドリガイロフからしつこく言い寄られていた。
それを知った妻のマルファ・ペトローヴナは激怒。ドゥーニャを解雇し、悪評を広めてしまう。

だがその後、スヴィドリガイロフ自身の告白や、ドゥーニャから彼に当てた拒絶の手紙、同僚たちの援護射撃となる証言などにより、彼女の名誉は回復される。マルファ・ペトローヴナは一転して弁明に奔走し、世間の誤解を解くことに尽力した。

すると新たな縁談が舞い込む。相手はマルファの遠縁にあたる男(ピョートル・ペトローヴィッチ・ルージン)。
彼は権威主義的で、女性に「従順さ」を求める人物らしい。
にもかかわらず、ドゥーニャはこの結婚を受け入れる決意をした――
それはすべて、兄ラスコーリニコフのためだった。

母プリヘーリヤは、娘ドゥーニャとともに兄の進学や将来を第一に考え、経済的支援も含めて、息子に会える日を心待ちにしていると綴っている。

この手紙を読みながら、ラスコーリニコフは涙を流し続けた。

👤 人物メモ

登場人物関係・立場特徴・印象
ラスコーリニコフ主人公 / 学生極貧の下宿生活。母からの手紙を読み、家族の愛情と犠牲に涙する。
ナスターシャ下宿の女中田舎なまりのおしゃべり好き。ラスコーリニコフに好意的で、食べ物を差し入れたりする。
プリヘーリヤ・ラスコーリニコヴァラスコーリニコフの母息子を心から案じる。手紙に娘の苦難と結婚の報告をしたためる。
ドゥーネチカ(ドゥーニャ)ラスコーリニコフの妹家庭教師として働く中でスキャンダルに巻き込まれるが、潔白を証明。兄のために不本意な結婚を選ぶ。
スヴィドリガイロフドゥーニャの元雇い主彼女に言い寄る不誠実な男。事件の発端を作るが、後に告白する。
マルファ・ペトローヴナスヴィドリガイロフの妻最初はドゥーニャを責めるが、後に名誉回復に尽力する。縁談の仲介も担う。
ピョートル・ペトローヴィッチ・ルージン新たな結婚相手候補 / マルファの遠縁権威主義的で自己中心的な性格。従順な妻を求めている。ドゥーニャとの結婚に乗り出す。

💭 感想・気づき

はじめ、なぜラスコーリニコフが手紙を読んで涙を流したのか理解できませんでした。よくよく考えると以下のようなことでしょうか。

  • 無償の愛を向けてくる母と妹への感謝と申し訳なさ
  • 自分が何も返せていないという自己嫌悪
  • 彼が心の中に秘めている「ある計画」が、家族の愛とあまりにもかけ離れていることへの罪悪感。

愛されることは時に重いのかもしれませんね。特に自分で自分をそれに値しない人間だと考えているようなときは。もし自分がラスコーリニコフの立場なら、本当に愛されるに値する人間なのだろうか、と考え込んでしまいそうです。彼は今、「愛されている人間」として、自分自身に問いを突きつけられているように感じました。

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※この投稿は、ドストエフスキーの『罪と罰』をじっくり読みながら、感想や考察を記録していくシリーズの一部です。
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