【日々レビュー記】『罪と罰』[第2篇-1後半]:警察署での緊迫

小説『罪と罰』

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ラスコーリニコフは警察署に呼び出されるが、殺人事件の取り調べではないことが判明する。副署長は横柄に叱責するが、彼が呼び出された理由は借金問題に関するものであり、下宿のかみさんザルニーツィナの借用書が関係していた。

署長ニコジーム・フォミッチは副署長と正反対に穏やかな態度で、ラスコーリニコフに金銭の支払いについて温情を示す。彼は今は金がなく、いつか返すと宣誓文を書く。

ところが、その最中に副署長に殺人事件の報告が入り、警察の推理では犯人が現場を逃げたと考えていることを知る。ラスコーリニコフは捜査の手が自分に及ぶことを恐れ、動揺して震える。

🧠 感想と考察

殺人に関する取り調べではないと分かるやいなや、ラスコーリニコフは普段の気弱さを脱ぎ捨て、強気で堂々とした態度を見せる。

これは権力者に対する鬱憤を晴らすかのようであり、普段の彼からは想像しにくい姿だ。大それた罪を犯しながらもまだ誰にも知られていないという事実が、彼に奇妙な自信を与えているのかもしれない。

しかしその自信は脆く、まるで針の上に立つような不安定さをはらんでいる。殺人事件の話題が警察内部で持ち上がると、彼は一気に恐怖に駆られ、まさに小市民のような慌てぶりを見せる。

この矛盾する態度から、彼の心の葛藤と罪悪感が浮き彫りになる。今後、彼は怯えと恐怖の中で日々を過ごしていくのかもしれない。

🧍‍♂️【登場人物メモ】

名前概要備考
ラスコーリニコフ本作の主人公。貧困に苦しむ元大学生で、アリョーナ・イワーノヴナとその妹リザヴェータを殺害した犯人。警察の前で取り調べを受けるも、事件とは無関係と分かり余裕が生まれる。
イリヤー・ペトローヴィチ警察署の副署長ラスコーリニコフに対して威圧的な態度をとる。火薬中尉(あだ名)と呼ばれるほど短気で怒りっぽい。
ニコジーム・フォミッチ警察署の署長イリヤーとは対照的に理性的で穏やか。ラスコーリニコフの身の上話に同情を寄せる。
ザルニーツィナ八等官未亡人ラスコーリニコフに貸金を請求している下宿のかみさん(未亡人)。借用証書の発行元。
コッホラスコーリニコフが犯した殺害現場に居合わせた。

📝 まとめ

この節では、ラスコーリニコフの心の二面性が強く表れています。外面は強気で権力に抗う姿勢を見せつつも、内面では犯した罪の重さに怯え、不安で震えている。

彼の不安定な精神状態が今後の物語の緊張感を高めるでしょう。借金問題という日常的な現実と殺人事件という非日常的な恐怖が交錯し、彼の心理が細やかに描写されている点が印象的でした。

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※この投稿は、ドストエフスキーの『罪と罰』をじっくり読みながら、感想や考察を記録していくシリーズの一部です。
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